「あの…」

男性の背中に話しかける。

「貴方は警察の人なの?」

「似たようなもんだ」

振り返り、彼は私の顔を見る。

「レイ・マードック。合衆国エージェントだ。任務でこんな笑えない修羅場にやって来た、憐れな捨て駒だ」

そう言って自嘲するレイ。

この状況下でジョークが言える辺り、やはりこういう事態には慣れているようだった。

なら、もしかしたら…。

「あの…レイは、この島で今何が起きているか知っているの?」

居ても立ってもいられず、私は彼に質問をぶつけた。