島の規模の割には、比較的立派な造りの警察署。

市民の平和と安全を守る、正義の象徴。

こんな異常事態になってしまったこの島で、唯一身の安全を確保できるかもしれない場所だった。

もしかしたら、この警察署なら警察官がいて、守ってもらえるかもしれない。

後は警察官に事情を説明して、井戸の水を調査してもらえばいい。

何も一般市民の私が危険を冒してまで、井戸を調べる必要などないのだ。

…幸いにして、警察署に辿り着くまでに、暴徒達には遭遇する事はなかった。

運がいい、と勝手に思い込んだ。

何とか傷一つ負わずに警察署に到着できた。

これで助かるかもしれない。

希望的観測である事も忘れ、私は望みを抱いて警察署の扉を開いた。