何が何だか分からない。

何故襲われるのかも、何故私を狙うのかも、何故島の人達がこんな風になったのかも。

理解できないまま、ただ走り出す。

頭は混乱しても、人間は生存本能が働くものだ。

危険が迫れば無意識のうちにでも逃げようと体が動いた。

…時折振り向き、背後を確認する。

追って来る群衆。

凶器を振り上げ、唸り声を上げながら追って来るその様は、さながら暴動を起こした暴徒のようだ。

幸い、この島の住民の平均年齢は高く、体力も下り坂の者が多い。

走って追ってきても、まだ二十歳そこそこの私の足に追いつける者はなく、何とか逃げ延びる事ができた。