よく肥え太った中年男性、白髪の老婆、ハンチングを被った青年、子連れの若い女性。

年齢、性別は様々。

ただ共通しているのは、誰も皆、普通ではなかった。

白濁した眼球、虚ろな視線。

だらしなく涎を垂らしながら半開きになった口。

不明瞭な唸り声を上げながら、摺り足で車道を歩く。

その手には…凶器。

鉈、鎌、包丁、カッターナイフ、ハンマー、アイスピック…。

普段生活用品で使っているような刃物などを握り締めている。

それらを握っている者の殆どが、服をベットリと返り血らしきもので汚していた…。