私一人ではここまで来る事は出来なかった。

私はレイの顔を見る。

無愛想だけど、勇敢でタフで機知に富んだ、この頼もしきエージェントが居たからこそ…。

「レイ…有り難う…貴方がいなかったら私は…」

言いかけた私の口を、レイは指先で塞いだ。

「礼は本国にキッチリ送り届けてから聞かせてもらおう。君を無事に大統領の下に届けるまでが俺の任務だ」