ボートに二人、素早く乗り込む。

船体後方のエンジンのスターターを引くと、エンジンは快調に動き始める。

「よし」

ここまで来て、レイは初めて安堵の笑みを浮かべた。

「脱出できるぞ、アシュリー」

「ええ…」

私もボートに腰掛けたまま、ヘナヘナと力が抜けていくのを感じる。

やっと…やっと島から出られる。

私の生まれ故郷。

今は狂気に支配された暴徒達の島。

一時は命の危険にさえ晒され、生きて帰る事すら困難かと思われたが、無事に島を出る事ができるのだ。