「…あのぅ…。」 「はっ、はいっ!」 ボクに話しかけてきた。 やっぱり心の叫びは彼女に聞こえなかったみたいだ。 身体がカァーっと暑くなる。 きょ、距離が近いよ…。 「入学式で…、話しましたよね?」 大きな目でボクを見てくる。 「あー、うん、話したよーな気が…」 ボクのバカっ!ヘタレ! 心の中でまた叫んでみる。 「あの時、ボタンも落としましたよ?」 彼女はクスクスと笑いながら、ボタンを差し出してくる。 いかつい柔道部員なんかじゃない。 ………本物だ。