「ねえ、伯父様あー。良いでしょう?崇晃にそれとなく言っておいて下さいな」
 と瞳子は相変わらずの猫なで声で囁いた。

 そんな二人の会話の中に半ば強引に割り込むような形でもって理子は社長室のドアをノックして部屋に入った。

「社長今回のプレゼンに必要な資料をお持ち致しました」
 と理子は瞳子に軽く会釈をしながら言った。

「ああ、理子さんご苦労様。すまなかったね。急がせてしまって」
 と日向は理子からその分厚い資料を受け取りながら言った。

「いいえ。これは私の秘書としてのお仕事ですから。社長どうかそんな風にお気になさらないで下さいな」
 と理子はニコヤカな笑顔で言った。

「あ、そうだ。君に紹介をしておこう。こちらは僕の従弟の奥さんである『間宮瞳子(まみや とおこ)』さんだ」
 と日向が言うと瞳子はやや怪訝な顔をして理子を見た。

「瞳子こちらは僕の秘書をして頂いている高階理子(たかしな りこ)さんだ」
 と日向が言うと瞳子の顔色がサッと変わった。