「え!亜美ちゃん、大丈夫??ごめんね。2人が喧嘩なんかしてるからー‥」




そう言いながら、落ち込み気味な顔で言うルイくん。





そんなルイくんをよそに、陽輝くんがいきなり私のもとへとやって来て私の体に手を延ばす。




ー‥フワッ‥ー



「…え!」




あろう事か陽輝くんは私をひょいっと軽々持ち上げたのだった。




しかも、女の子なら誰もが憧れるあのお姫様抱っこで…。




え…ちょっ、陽輝くん??


な、何を……っ?



完全にこの状況にパニックを起こしてしまった私。




私を抱き上げた陽輝くんはその場からクルッと後ろに向き直って一言。




「ちょっとコイツ、休ませて来るから」



そしてルイくんと錬くんをよそに、私を抱いたまま歩き出した。




「ちょっ、陽輝!どこに連れて行くんだよ!」



後ろで錬くんの声が聞こえた。



その声からは、少しだけ焦っているようにも聞こえる。




その言葉を聞いた陽輝くんは少し、ため息を零して言った。



「お前も知ってるところ」




そう一言呟いて、また静かに歩き始めた。