「とても美味しかったです。 ごちそうさまでした。」
「……ごちそうさまでした。」

「沢山食べてくれてありがとう。」

お母さんほんとに今日は機嫌がいい。
鼻歌なんて歌いながら食器を片付けてる。

雅人さんと雄二さんはこれまた上品に立ち上がった。

「お母さん、先生を送ってくね!」
「はーい」

お母さんの返事が聞こえた事をスタートとして、私は二人を玄関まで送っていった。

「先生、今日はありがとうございました。」

私が頭を下げると、雅人さんが「頭さげなくていいよ。」と言ってくれたから、頭をあげた。

「こちらこそ今日はありがとう。


あ、それと。」

瞬間、唇に雅人さんの指先が触れて、雅人さんの顔が目の前にあった。

「僕の事は、雅人で、いいからね。」

ニコリと笑い、雅人さんと雄二さんがでていく。
私は腰が抜けて、立つことなどできなかった。