秘密のお勉強会

「すごいね、結菜ちゃんは。」

クスクスと雅人さんが笑う。人様に思い切った事しちゃったなぁと顔が赤くなった。

「家庭教師は基本ローテーション。
僕、雄二の順番で、日曜日は二人ね。」
「……最初は基礎から固めて行く。
受験日に近づけば応用へいこうと思っているが、基礎ができていなければ基礎をともかく固める。」
「わからないトコがあったら質問は絶対してね。」

「……はい。
え、ってか毎日くるんですか!!?」

あまりにも調度ピッタリすぎる連携プレーに圧倒されながらも、なんだか重要な事を言われたから思わず驚いた。

「うん。 結菜ちゃんのお母さんにそういわれてるしね。
開始は7時からだから、十分遊べる時間もあるよね?
あと、結菜ちゃんのお家は友達は泊まってもいいけど、友達の家に泊まったら駄目。 つまり、外泊禁止なんだよね?」

絶対こんなこと言ったのはお母さんしかいない!
お母さんに念を飛ばすと、くしゃみをする音が一階から聞こえた。

「でも、今週の日曜日友達(真弓だけど)が泊まりにくるんです……。」
「ん? 全然大丈夫だよ??」

「真弓、面食いだからなぁ……。」

無意識の内に出た言葉は二人の耳に届いていたらしく、雅人さんは小さく笑っていて、雄二さんは笑いをこらえていた。


「褒め言葉として受けとっておくね。」

ニコリと笑いながら、雅人さんがそんな事を言った。