「何の用だ。それとも偶然か?」
いつもより低い声で、琉生が問いかける。
「怖い顔。偶然よ。こんな所までわざわざ会いになんか来ないわよ。アタシ達はいつだって会えるんだし」
「わけわかんねぇ事言うな。お前とは仕事の付き合いだけだろ」
「それもそうね。でもこれからどうなるかわからないじゃない。先の事なんて」
エリサさんの言葉の意味を考える程怖くなったアタシは、すかさず琉生の手を握った。
それに応えてくれるかのように、琉生も握り返してくれた。
「こんなに喋ってる暇もないから、アタシ行くわね。じゃあ」
そう言い、エリサさんがアタシの横を通り過ぎようとした時、不適な笑みを浮かべながら通り過ぎていった。
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