「もう行ってしまえ!」 「あゆか、………………俺も、あゆかが………………好きだから。」 武彦は私のオデコにそっと口ずけして微笑んだ。 「ズルイぢゃんかよー! 馬鹿あぁー!」 「ぢゃあな。」 そう言って躊躇いもなく私に背中を見せる武彦の後ろ姿は私はずっと忘れられない。 「好きだぞ、………馬鹿。」 私はそっと涙した。 君は何時までも私の心の王子様。 冬に現れて冬に去ってゆく雪の王子様。 きっと私は何時までも忘れない。私の初恋が素敵な雪の物語だということを、