冷えただろ、と汗が引いて肌寒くなったなと感じていると、目の前にホットミルクが差し出された
嬉しいけど、このお店の雰囲気には似合わない…
黙ってカップを見下ろしていると、小さな笑い声が正面から聞こえた
「それ出したこと秘密な」
不思議に思って首を傾げていると、タクさんは苦笑いした
「それ、特別なんだ。何でかうちは高校生と縁があるらしくてね」
困ったように頬をかきながら、タクさんは丁寧に説明してくれた
なんでも彼女さん専用だったらしく、常備してあるものを出してくれたらしい
申し訳ない気持ちになりながら、あたしはそっと大事に口をつけた
柔らかい温かさが口の中にじわりと広がる
心に絡んでたものが、少し解けたみたい
ほっこりしていると、奥のドアから男の子が出てきた
黒髪を無造作にセットしていて物腰がタクさんに似ている
シンプルなカッターに黒いパンツをすっきりと着こなしている
同い年ぐらいだろうか、奥から出てきたということはこのお店の関係者みたいだけど
男の子はこちらに気づくと呆れたような顔でタクさんを見た
「女子高生連れ込んだなんてバレたら美波ちゃんに殺されるぞ」
なんて物騒なことを口にした
.

