「今日泊まってく?」
「えっ?」
ぼぉっと只流し読みしていたマンガから顔を上げると、芯の唇が触れた
驚いたまま固まっていると、芯はふっと意地悪な笑みを浮かべる
「悪いことできるよ」
「悪いこと…」
胸の奥がぎゅっと潰れそう
おばさんの顔が頭に浮かぶ
"芯まであなたみたいになったら"
急にどうしていいかわからなくなって、芯の胸を押し返す
「今日は帰りたい…」
「せっかく親がいないのに?」
「芯、お願い…っ」
芯のキスが降り注ぐ
やめて
あたし悪い子になっちゃう
また嫌われちゃう
「芯っ!」
思った以上に大きな声が出て
はっとした芯を見ると、芯は驚いた表情でこっちをじっと見ていた
傷つけた?
わからない
「ごめんね、ほんとに今日は…」
「じゃ今日は一緒に寝るだけ、な!」
いつもの芯だ
ほっと胸を撫で下ろしたと同時に、携帯の着信が部屋に鳴り響いた
「電話だ…、ちょっと出るね」
芯に断りを入れて、廊下に出た
「はい」
『真緒?』
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