僕様王子に全てを奪われてⅡ

小柄な女性はこくんと頷くと、メモ用紙にさらさらと字を書き始めた

『華道のお教室で働いていると、有栖川家の人に聞きました
今は、どちらかに外出しておられるのでしょうか?』

メモをまた冴子に見せた

冴子は首を横に振ると、スーツの胸ポケットに入っているボールペンを手に持って

女性の持っているメモ用紙を借りて字を書き始めた

『残念だけど
茶佑って人は辞めたわ
今はどこにいるかわかりません』

え?

どうして?

どうして嘘をつくの?

なんで?

だって冴子が茶佑じゃない

女性はメモ用紙に書かれた字を見ると、むすっとした目をして冴子の顔を見た

そして手を動かしてから冴子を睨んだ

え?

今のって手話ってやつかな?

「なんだ、バレてんじゃん」

冴子の姿ままで、男の声になる

「なんでここにいんだよ」

口を動かしながら、冴子も手話をする

冴子の手話を見てから、女性がまた手を動かす

…けど、私にはさっぱりわからない