僕様王子に全てを奪われてⅡ

「…て、愛子、誰から?」

乙葉さんが、ちらっと視線を上げた

「須山 元さんって表示あるけど」

「ひゃあああ、もうダメだぁ」

「何が?」

「心臓が口から出できそう
ぽろっと出てきて、愛子のベッドの上で死んでやるんだ
くそぉ…死に場所はここに決めた」

乙葉さんはもそもそとベッドの布団の中に逃げ込んでしまう

「ちょっと、勝手に決めないでよ」

…てこれって通話中なんだよね?

今の話を、元さんは聞いているんだよね?

ふふふっ

これってある意味、チャンス?

「ほら、電話に出ないなら、メールすればぁ?」

「通話中になってるなら、メールできないだろうが」

「『好き』ってメールしたいんでしょう?
元さんに…苛々して、涙が出ちゃうくらい好きだってメールしたいんでしょ?」

私はベッドに座って、口を開いた

ふっふん

どう?

これって良い作戦じゃなぁい?

乙葉さんの素直な気持ちが、元さんに聞けるでしょ?