「マスター!そんな所に座ってないで此方に来てよ」
『マスターって俺の事?』
「もしかしてなんにも知らないで此方の世界に来たの?」

アリルはアクア色の瞳を大きくさせて心慈をみつめる。どうせカラコンだろうと心慈は気にも留めなかった。

『だからさっきから聞いてんのにアリル教えてくれねぇじゃん。俺の格好も可笑しいけどアリルの格好も変だよな』

するとアリルは鮮やかなオレンジ色のボブを揺らして

「あたしは変じゃない!ニンゲンじゃないけど変じゃない!」
と怒鳴った。
いきなり怒らせた事に心慈は慌てて言葉を足す。

『ああ、そのコスプレ可愛いぜ。カラコンも似合ってるし髪の色とバッチリだな』

肩を揺らし呼吸を整えてたアリルが不思議そうな顔で

「こすぷれ?からこん?魔法の呪文なの?確かそんな呪文なかったような…」

真顔で考え始めたアリルに心慈はついてゆけなかった。