「何…だったの?」


夏帆は言った。

ガタッ


「わ、私…死にた…く、ない…」


席を立ち上がって、震えているのは日坂時雨【ひさかしぐれ】。


「日坂さん、座って」


「龍恩時さん…」


時雨をなだめたのは竜恩時琴葉【りゅうおんじことは】。

生徒会長で、学級委員。

成績優秀、他の資格の持ち主。


「これは…悪戯なんかじゃない」


「え…」


優梨が固まった。


「あの人たちの言ってることは嘘とは思えない」


「何で…そう思うの?」


さっ

琴葉は2枚のJokerを手に持っていた。


「それ…」


「このクラスで選ばれたのは、松永亜紀と田立一」


松永亜紀【まつながあき】と田立一【ただちはじめ】は俯いた。


「これは松永さんのカバンの中に入ってたの。田立くんは机に」


シ――――ン

クラスに沈黙が訪れた。


「始まるのはあと5分後。10時ね…はい」


琴葉は2人にJokerを返した。


「これを手放してはだめよ。みんな卒業したいのは同じよ…でも、殺すなんてこと、出来ないわ」


琴葉は下を向いた。


「…3年生のクラスは5クラス。Jokerを持ってるのは10人」