あおいは耳を塞ぐ。


「大丈夫…逃げよう、ゆっくり…ゆっくり」


ドクンドクン

夏帆は自分の心臓の音を抑えるのに必死だった。


「ねぇ、一」


「今!!」


ダッ

夏帆たちは階段を駆け上がった。


「どこ行くの!?」


「4階――」


教室があれば、人もいる――

そう思っていた。


「え――?」


先頭にいた小結が突然止まった。


「小結…ちょっ…時雨が――」


夏帆も状態を把握した。

どうして――?

目の前は、職員室よりも酷かった。

血、血、血。

指、腕、足…元が誰の物だったか分からない状況だった。


「嘘、でしょ?」


生命反応…ない、よね?


「教室…」


ガラッ

夏帆はB組のドアを開けた。

振り返ったのは、誰一人いない。

だって…みんな…


「死んでる…」


夏帆は呟いた。


「嫌…」