解きたいのに余計に絡まる糸。

その糸は次第に数が増え…さらに絡まり合う。

そしてどこかで繋がってる。

その糸の先は絶望か、希望か。

それを知っているのは誰でもない。

運命だけが知っている。

物語は、シナリオ通りに進むだけ――



「龍…そういえば、弘樹は…?」


弘樹から電話があって、真央の危機を知らせてくれた。


「あ…そういえば…」


「弘樹くん、見ないね」


優梨も言う。

フッ――

なぜか不気味な影が頭の中を横切る。

不安が押し寄せる…


「弘樹に…電話して…」


「西村…?」


「嫌な…予感がするの。黒い影が…迫ってる」


何でだろう。

今までのことが全部よみがえってくる。

弘樹と話したときのこと。

ドアに黒板消し挟んで担任をチョークの粉まみれにしたときのこと。

思わず笑っちゃいそうなことも、今じゃ笑えない。

もしかしたら…

そんな思いがどうしても消えない。


「…クソッ――」


「龍…」


「弘樹…出ねぇ」


「弘樹くん…」


優梨は涙を流した。


「まだ死んだわけじゃないから…」