「新しい情報仕入れてきますよ、J」


Aはドアへと歩く。


「ええ…A?」


Jの声に、Aは止まって振り返る。


「はい?」


「あなたが殺してもいいのよ?そいつ」


“思い返してみると、最低なやつがいたな~って”


「…俺はそいつの裏切られる顔が見たいんで」


「殺さないの?」


「俺よりやってくれるやつがいますよ」


パタン…

Aはそう言ってドアを閉めた。

あいつ、今どこにいるんだ?

Aはそれだけを思って携帯を開いた。



A――

隠していられるのも今のうちよ?

私は最初から気付いてた。

でも、楽しいことになるはずだわ。

それまで待つことにしましょう。

ねぇ、A?


「あなたの大切な人は、真実にまた一歩近づいたみたいよ?」


Jはモニターを見てフッと笑った。

視線を落とすと写真が視界に入った。

笑顔の自分と――

今はいない、修平。

急に心が寂しくなって、涙が溢れる。


「修平…待ってて?私、泣かないから…ね」


パタ…ン

Jは涙を堪えて写真立てを倒した。

今は思い出したくない。

あの楽しかった日々も、全て。