修平のほうを見て言っている。

俺のことか――

修平は席に着いた。

花瓶を退かそうとしたが、接着剤でくっついている。


『はぁ…』


席に座って、ただただ時間が流れるのを待つ。


『みんな、席に着いて』


担任が来た。

あの担任は最後まで俺を助けてくれなかった。

そう、最後まで――

クスクス…

周りから聞こえる笑い声と悪口。


『何あいつー、え?花瓶取れないようにしたの!?』


『笑えるー』


スッ

修平は立ち上がった。

ガチャッ

窓のカギを開ける。

ここは5階。

ここなら――

死ねる。

修平はゆっくり教室を見た。

こんな状態でもみんな笑っている。

修平は真っ青な空を見ながら、静かに地面に落ちていった。



「それ…本当?」


夏帆はあおいに聞いた。

この桜中に自殺者がいるなんて――

聞いたことない。


「うん…」


「でも、そいつ死んでるんでしょ?」


「でもね、おかしいの…」


「何が?」