『止めなさい!!』


さっきまで普通に見ていた担任が叫んだ。

腕を掴まれて、身動きが取れない。


『離せ…こいつは――!!』


『七道!!何してんだよ、怪我してんじゃねーか!!』


倒れている男子は腕から血を流している。

ハサミには血は付いていないのに…?


『最低だな、もうこいつに近づかない方がいいぜ』


その男子はニヤッと笑って、担任と一緒に保健室へ行った。

朝から変に思っていたのは嘘ではなかった。

今怪我をした男子が、修平をハメた――

あの怪我は自分でやったものだ。

俺は何もしていない。

修平は誰からも話しかけられない『空気』になった。

それが4ヶ月続いた、ある日…事件は起きた――――


『やだー、この花瓶誰が置いたのー?』


女子の騒がしい声。

修平の机には菊の花が飾られていた。

あの日から4ヶ月――

あの男子は今では支配力と信頼を手に入れた。

あの日から不思議だった。

いや、変だったのはもっと前からだったのかもしれない。

でも、どうしてだ?

俺は仲間だと思っていた。

友達だと思っていた。

なのに――?


『邪魔』


ビクッ

修平の後ろに立つ男子は、修平をハメた奴だった。

スッ

修平は何も言わずに退く。


『まじさー、あいつ死ねばいいのにな』


遠くから聞こえる声。