琴葉の必死の説得に、夏帆たちは記憶を辿る。

真央が殺された後――――


“カランカラン…”


あのとき、真央の携帯が

廊下にある水槽の下に入ったんだ――!!


「思い出した!!携帯が――」


4人も頷く。


「行こう!!」


助かるかもしれない――

夏帆たちは小さな希望の光を求めた。

このゲームを終わりにしたい。

残り時間、18時間30分――

死の宣告は、近づく。


「ここ…?」


1階には、争ったと思われる無数の血の跡。

切られた腕。

ちぎられた指。

異様な臭いが廊下を包む。

知り合い、友達――

顔が分からないほど殴られた人。

目が開いたままの死体が多くて、見られている気がしてならなかった。


「水槽…」


「あれ?」


真央が殺されたときとは明らかに違う。

魚が優雅に泳いでいた真っ青な水槽も、今では返り血がかかり中は見えにくく、魚も殺し合いの道連れになって床で死んでいた。


「ウッ――――」


水槽まで辿り着くのに、

何度吐き気がしたか分からない。

数え切れないほどの死体を目にし、邪魔になっていれば退かし続けた。


「あれ…だよね?」


水槽の下を覗き込むと、血がかかった真央の白い携帯が目に入った。