「はぁ…」


夏帆は溜息をつく。


「もぅ…無理だって…」


あおいの弱音も、もう誰も慰められない。

目の前で死体を見てしまった。

1人でならまだ耐えられた。

心の中にある恐怖を、隠すことができた。

でも…みんな、限界に近い――


「このまま、死ぬのを…待つ?」


フッ

小結は口角を上げて微笑んだ。


「な…何言ってんの!?そんなの――――」


夏帆は俯いた。

このまま『死』を待てば、楽になれる?

この恐怖から、抜け出せる?

何も言えないまま、10分が過ぎた。


「テレビ…」


「どうしたの?」


琴葉の呟きに、優梨が優しく微笑む。


「真央の、携帯…」


“真央の、携帯…”?


「水槽の下…電話…」


「竜恩時…?」


「そう!!真央は携帯を使って…お姉ちゃんと電話をしてたはず!!」


夏帆たちは状況がよく読みこめない。


「思い出して!!真央が…殺された後のこと――」


思い出したくない…

みんな俯いて、考える素振りを見せない。


「みんな…助かるかもしれないの!!」