「これ…金川、哀沙…?」


琴葉が呟く。

バットで殴られた痕が痛々しく残る死体。

目が開いていて、不気味以外何者でもない。

この学校の美少女、哀沙の死体があった――


「出よう…」


死体は何度見ても慣れない。

慣れるなんてありえない。

夏帆たちは、何も言わずにトイレから出た。



「金川の死体――見つけたらしいけど」


「そう…Aは何とも思わないの?」


JはAに聞いた。


「別に――」


「へぇ…」


Jは興味深々にAを見る。

Aは紙を見るようにして、顔を隠す。

気付け――

大丈夫――

俺が、助けてやるから…


「A――どうしてあなたはこの計画メンバーに入ったの?」


ドキッ

焦りの冷や汗がこめかみを伝う。


「人数足りねぇし?世の中ありえねぇやつらばっかだろ?復讐だよ、復讐…」


復讐、復讐…

めんどくせぇことなんてそうそうしねぇよ。

あのとき…あのとき画面に映った文字が――

ターゲットが桜中じゃなかったら、絶対やってなかっただろうな。


「Aは一回断ったじゃない」


Jはイスをくるりと回した。

こいつ…上から目線が好きなのか?

俺もこいつと同い年だっつーのに…