「やめろっ!!」


がしっ

俺はそいつの腕を掴んだ。


「チッ」


こいつ…確かA組の…


「死ね」


「龍っ!!」


そいつが包丁を振り下ろすと同時に、西村の声が聞こえた。

俺はあのあと、西村たちが気になって逆の階段から下りてきた。

やっぱり、頭がイカれたやつがいたか…

さっ

間一髪、服で守られたけど…次は、ヤバいな。


「西村!!逃げろ!!」


俺は叫んだ。


「龍は!?真央も萌香もいないんだよ!?」


「早く!!」


早く逃げろ…殺される前に…



「夏帆、早く!!」



琴葉の声なんて聞こえない。

真央と萌香はどこいっちゃったの?

それに…龍は?

あの子は、もしかして…


「嫌だよ!!」


あたしは首を振った。


「佐藤くんは、夏帆を守ろうとしてるの!!」


優梨はあたしの腕を掴んで言った。


「今夏帆に出来ることは、生きること…」


「…分かった。龍、無事でいてね…」