「ごめんね…守れなくて、ごめんね…」


時雨は1人でずっと泣いていた。

10分経って、時雨は立ち上がった。


「し、ぐれ?」


夏帆が呼んだ。


「…なきゃ。…さなきゃ」


「どうしたの?」


時雨は何かを呟いている。


「殺さなきゃ、殺さなきゃ…」


「え…?」


「中村大輔を、殺さなきゃ」


時雨は野球部が使っているバットを持った。

夏帆は放送を思い出す。


“B組の田立一死亡。Jokerの持ち主はA組の中村大輔”


中村大輔【なかむらだいすけ】。

親の教育が厳しい家庭で、よくテストで1位を取ってる生徒だ…


「日坂さん、落ち着いて!!何も殺さなくても…」


琴葉が時雨を止めに入る。


「殺さなきゃいけないの。あたしは…一を殺したあいつを許さない」


時雨はそう言って、琴葉を突き飛ばし教室を出て行った。


「…ここまで来れば大丈夫だろう」


一から奪い取ったJokerを持った大輔は2階の理科室に居た。


「どけどけどけ!!」


誰だ?


「クソッ…どいつもこいつも…」


腕から血を流して、理科室に入ってきたのはA組の孝哉だった。

ガタッ

大輔は音を立ててしまった。