私に向けられた声。少し離れた所からパタパタとボブカットの女の子が小走りで寄ってくる。
「まぁいいわよ。それで？用事は済んだの？」
携帯をたたんで上着のポケットにしまいながら彼女に聞く。この娘が待ち合わせの相手、本城綺子（もときあやね）。ヨーロッパ系の血が流れてるとかで純粋な日本人より少し色が薄い。明るい茶色の瞳とか髪、肌も色白で同性の私から見ても可愛いと思う。
「はい。先輩と約束しましたから。」
にぱっと笑う。よく「天使の微笑み」なんて言うけど彼女の笑顔はまさにそれ。
「じゃあ行こうか。」