「そろそろ転送時間だが…丁重にな。遊んでいる時間は無いが急いてはならんぞ。」
真っ白な壁に囲まれた一室。床には二重三重の円が色彩豊かに描かれている。内周は多角形、斜線と共に何かの文字で埋め尽くされていた。
その中心に立つ男が一人、円から外れた所に少女が一人。
「心得ております。」
男が一言口を開く。程なくして床の模様から淡い光が立ち上る。光の柱は高さを増し、男の背丈を越えてしまった。一瞬輝きを増したかと思うと光は四散し、何も無かったかの様な空間を作り出している。男の姿も既になく、少女が一人だけだった。
「頼んだぞ。我等と我等の未来の為に…」
ぽつりと呟いた声が不思議と響いていた…。