彼女に聞いてみた。

「誕生日、何が欲しい?」
彼女は夜景を眺め、口へ運びかけていたフォークを皿へ戻してから言った。

「指輪。」

私は一瞬の戸惑いを隠せなかった。

彼女は私をじっと見つめていたが、ついににやっと笑った。

「指輪。ピンキーリングがいい。シンプルなやつ。」
私の安堵を見抜いた彼女は、再びフォークを持ち、小さく切ったイベリコ豚を何食わぬ顔で口に運んだ。