ほんとははちっとも大丈夫じゃなかった。
叫びたい位に痛かった。
強がり。
だって、あたしには、これしかないから。
あたしたちには、これ、しかないから。
だから。
背中にまわした手に、力を込める。
お願いだから、痛みなんて消えてなくなるくらいに抱きしめて。
朝になって、彼は何もなかったように帰っていく。
少しだけ寝癖を気にしながら
「じゃあ、また」
そう、笑顔でドアを閉める。
あたしはいつも、音をたてないように小さくドアを開けて、見なれた後姿を見送った。
また、帰っていくのね。
彼女のとこに。
そう思うと、途端に胸がきしんだ。
