それから、斜め四十五度。

この角度がこの人の笑顔が一番素敵に見える場所。

だから、あたしのポジションはいつもここ。

隣でもなく、正面でもなく、ここ。



笑顔のほかに、もう一つ。

ここから見える、左の顎にある、独特の痣。

ふと手を伸ばして触れたくなる、弦楽器奏者特有の、痣。

あたしの左顎にも、同じ痣がある。




これがあたしとこの人の繋がり。

どんなに月日が流れても、どんなに形が変わっても、決して消えない繋がり。




この痣を見るたびに、うれしいような、切ないようなそんな気分になる。