「先輩…雄和」




先輩の姿はなく雄和がいた。




椅子に腰掛けてボールを眺めてた。



「…南」




微かに聞こえた…



あたしの名前を口ずさんだ。



「ゆ、幸人先輩は?」
「…俺もここに呼ばれた」
「え…」






もしかして…



幸人先輩の作戦!?




そっか。
今がチャンスなのかも。
最後のチャンスかもしれないんだよね。
だとしたら…
後悔しないように伝えなきゃ。




「ねぇ、雄和…グランドに出ない?」
「…そうだな」




雄和は静かに立ち上がってグランドへと出た。






「ボール持ってくるね」
「は?…ちょ、南」



あたしは転がってるボールを雄和に投げた。