先輩は1人で話し出す。




「だから佐々木が憎くてさ」
「…。」
「昨日の佐々木の顔見て笑ってやった」
「…っ」
「それなのにお前は涙流しそうで…」
「あたしの気持ちは?」
「んな考えてなかった」
「…。」
「このまま俺を見てくれればいいのに…別れようって」
「あたしは雄和が好きです」
「…昨日幸人に言われたよ」




幸人とはキャプテンの名前。



近藤幸人。




「なんて?」
「お前がしてることは相手を傷つけてるって」
「先輩が…」
「幸人もお前のこと好きみたいだな」
「え…」
「確かに傷つけてるよな」
「…先輩の気持ちに答えることできなくてスミマセン」
「振られたぁ~…ごめんな」
「え…」
「無理矢理こんなことして」
「いいえ…わかってくれればいいです」
「俺サッカー辞めるよ」
「なんで…」
「新しく出直す」
「…そうですか」




福田先輩が選んだ道ならしょうがない。




あたしが口出すことなんて…ない。





「まぁ佐々木と頑張れな」
「はい!」




あたしは階段をおりて、教室に向かった。




あたしは気づかなかった。



…福田先輩の目から…


流れてた…雫に。