顔のない恋

今日の講義は、サキちゃんはとっていないから一人…

この前とは打って変わって、こじんまりとした教室

何となく後ろの端に独り言のように小さな声で
「すみません…」と言いながら座り、ふと隣を見ると
目が合って、お互い『あっ』って顔になって
お互い『どうも…』って挨拶したら

「この前は有り難う
助かりました」

頭を小さく下げた彼

「あっ」と何かを思い出し様に自分のポケットをゴソゴソして

「お礼」

そう言って私の目の前に
いちごミルク味のキャンディーを置いた