顔のない恋

その時

「隣空いてますか?」

立ち止まった人影に
不意に声をかけられ横を見上げると

ハーフのような目鼻立ちのハッキリした綺麗な顔をした男の人が立っていた。

思わず見とれ、慌てて
「あっ、空いてます
どうぞ!」と返事をした

「有り難うございます」

その彼は少し口角をあげて言うと、遠慮がちに腰をおろし、教科書や筆記用具を出し始めていた。