顔のない恋

俺は、電話を終え、帰ろうとする彼女の背中に声をかけた

彼女の体が大きく跳ね、
ゆっくり振り向いた彼女の顔は青ざめ、強張っていた

「起きていたの…?」

怖々聞いてきた彼女に黙って頭を縦に振り

「知ってたよ、大分前から…

俺は一人で大丈夫だから
もう心配はいらない

行っていいよ」

欠陥だらけのポンコツの俺より他の人の方が、きっと彼女は普通の恋愛をして幸せになれるんじゃないかって、ずっと思ってたんだ。