「でもやっぱり悪い…」



「送ってくって言ってんだから、素直にうんって言っときな」



「え、あ、じゃぁ…お願い……し…ます…」





蒼くんはきっと優しい人。



口は少し悪いけど、かけてくれる言葉は優しい言葉が多い。



私のことを気にかけてくれるのがわかる。


だから、蒼くんは優しい人。



優しいってわかるのに、なんだか泣きそうになる。



優しい言葉だから泣きそうになるのかな。













「ただいま~」





リビングに入って、お姉ちゃんに本を渡す。



するとお姉ちゃんが楽しそうに笑う。


「おかえりー

なんか嬉しそうね?」



「そう…かなぁ?」



「うん、すごく嬉しそう」





近くにあった窓ガラスに映る自分を見る。



本当だ。



嬉しそうな顔してる。



こんなニヤけた顔で蒼くんにあってたんだ、私。



ちょっと恥ずかしいな……。