俺の愚痴を聞いたオカンは笑いながらカレーの鍋をかき混ぜて、
「それ、案外間違ってへんよ?」
「えっ?」
朝の情報番組で仕入れたパンジーの花言葉の話を教えてくれた。
確かにアイツの言ってたコト、あながち間違ってないな。
ウチのオカンが知ってたくらいや。
もしかしたらアイツも知ってたんかもしらん。
頭ごなしにアホって言って悪かったな……。
バカと天才は紙一重……の端っこくらいには入れたろ。
やから次の日。
「すまんっ。パンジーの花って、考え事してる人の顔って意味やってオカンに聞いて……」
朝一番でアイツんとこに行って、アイツにアホって言ったコトを謝った。
そしたら、
「……パンジーって何?」
真顔でこう言われた。
「…………」
……やっぱりコイツはただのアホや。
思わず唖然とアイツの顔を見つめる俺は、パンジーと同じくらい物思う顔を浮かべた。

