「カイトッ!」


駆け出したハルを嘲笑うように
扉の声は楽しそうだった


『安心しなさい。あなた達も一緒です』

「なっ……」


ハルが扉を見上げた瞬間
部屋を突風が襲った


「っつ!?」

「おい!!なんだよこの風!」


会話は聞こえていなかったが
カイトが吸い込まれたのは見えていた

駆け出したリクやナナにも
風は襲いかかった


あっという間に体が浮かび
声を出すこともなく
三人も扉の向こうに姿を消した


『っ!ミウ!!結界はまだか!』

『やってるよ!けど……凄い力だ』


ミウは結界に向かって
これ以上ないくらい力を込めるが
力の差を思い知らされるように
結界はパラパラと砕けていく


もう駄目だ


ミウの意識が途切れた瞬間
二人の体は壁に叩きつけられた


意識を失ってぐったりしたサラとミウ

二人をしばらく見つめた後
扉は静かに閉まり
現れた時と同じように
音もなく消え去った


床に落ちていた空の鍵の欠片が
照明の光を受けてキラリと輝いた



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