──何度かまばたきをして
カイトはゆっくりと目を開けた

空いっぱいに広がる青
流れる雲を目で追って、横を見た


……ハル?


同じように花畑に倒れてて
寝ているのか、起きる様子はない

カイトは起き上がると
じっとハルの寝顔を見つめた


ウタと別れた後、
なんか嫌な予感がして
無理やり空間を繋げた

慣れない空間術

帰ったら絶対練習してやると
フラつく体を支えながら
そう思っていたら、聞こえた


『ハルが死ぬだけで、人間のみんなが助かるならいいよ。それに……ハルがいなくなっても、空は平気だから』


あの男に首を締められながら
ハルは笑顔でそう言った

笑顔?……違う

苦しい時の¨作り笑顔¨

俺が唯一嫌いなハル


気付いたら体が動いてた
で、気付いたらここにいた

だけど、頭ん中では
ハルの言葉がグルグル回ってた


死ぬ?
ハルがいなくなっても空は平気?


「……ざけんな」


平気な訳ねえじゃん

空が平気でも俺は無理

俺の事はなんも考えないで
勝手に一人で死のうとした

もしもあのまま……

そう思うと寒気がして
無性に、悲しくなった


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