空の姫と海の王子



「……ちょっと」


そんな簡単に信じちゃっていい訳?


握手する二人から目を離さない

きっと、何か裏がある

SANの中で葵は有名だ
それは当たり前、トップなのだから

しかし、葵の事を
詳しく知る者はいない

今までどう生きてきたのか
何故SANのトップなのか

彼が何者なのか


空の能力を狙っている葵が
協力しようと言っているのは
僕達の計画を知るため?
油断させて殺すため?

春ちゃんを取り戻すため?


「っ…たく」


いつもと同じ表情なのに
どこか嬉しそうで
悪意なんて全く感じない

本当にこいつだけは分からない

何を考えているんだ

何を企んでいるんだ


「……蓮、」


不意に名前を呼ばれて 
蓮は反射的に顔を上げた

葵は真剣な顔でこちらを見ている


「今すぐなんて言わない。時間が掛かっても構わない。俺はお前が信じるのを、待つ」


その言葉は本当なのか嘘なのか

今は分からない、だけど


「分かった、信じるってば」


大袈裟な溜め息を吐いてみせて
安心したように微笑んだ葵を
心の中で真っ直ぐに見据えた


僕は答えが出るまで
嘘を付いて待つだけだ