空の姫と海の王子




「──で、ここは西園寺家の別荘だから当分は大丈夫。EARTHもメンバーの別荘に裏切り者が住んでるなんて思わないだろうし、SANだとあたしが自由に動けないし?」


赤と黒のチェック柄の長い爪を
気にするように弄る奈央が言うと
春はとりあえず頷いた


「じゃあ玲と蘭は春達の味方なんだね!」

「あー……それは違う。あの子らはEARTHが何しようとしてんのか知らないから無関係。ここはいざって時に使えるように前から鍵借りてたからさ」

「じゃあ早く教えてあげなきゃだよ!」

「それはもっと無理だろうな」


笑いを含んだ葵の声に奈央も頷いた
EARTHにとって、由紀達は貴重な戦力だ

その貴重な戦力が敵に回ったら
それを防ぐ為に行われているのは
何重という情報操作と細かい指令

余計な疑念を考えさせる余裕を与えない

奈央が真実を知り、裏切った今
EARTHは由紀達の監視を強化し
全力で奈央を消しに来るだろう


「流石のあたしでもEARTHが総力掛けてきたら死ぬだろーし、上手くいって中途半端に伝えられても今度は由紀達が危ないし」

「そんなあ………」

「まあそっちは当分は放っておいて大丈夫だろーね。あいつらも馬鹿じゃないし、大抵の事は自分達で何とか出来るんじゃない?」


それより、

蓮は春の左手の薬指を
トントン、と軽く叩いた

少し細くなった気がする
銀色のリングが海斗と重なる


「どちらにも属してない海斗達を見つけるのが先だと思うよ」