でも、何故だろう
春の居場所はすぐに分かった
空の能力の波動を追ってきたから
だけど、他の三人の能力の波動は
全くと言っていい程感じない
蓮自身が空だから空の波動が
特別感じ取りやすいのもあるだろう
それにしたって、
全く感じないなんて事はない
仮にも、海なのだから
「……能力を消してる?」
「能力を消す?何それ無理っしょ?」
「だよねー……じゃあなんで、」
「彼らの能力が封印されてるから」
余りにも自然に耳に入ってきた声に
二人は瞬時に武器を構えたが
「そんな物騒なの向けるなよ」
結界が張られた筈のこの部屋に
音も立てず、気配を感じさせずに
どうやって侵入したのか
「……仲間だろ?」
口元に手をやって葵は微笑んだ
肩に羽織るSANの白いコートが
窓から入る風に吹かれてはためく
葵の黒い瞳に射抜かれた様に
二人は身動きひとつしなかった
いや、身動き出来なかったのだ
二人に出来たのは息を呑むこと
葵は小さく溜め息をつくと
蓮の腕の中で眠る春を一瞥して
ゆっくりと窓枠から降りた
「俺が留守の間に色々あったみたいだけど、とりあえず」
指先をシュッと上に向けると同時に
床に巨大な陣が広がった
「場所変えようか」
その言葉と共に陣から溢れた光に
思わず二人は目を瞑った

