空の姫と海の王子



──曇り空だからだろう
夕方にもなってない時間なのに
窓の外はもう薄暗くなっていた

泣き疲れたのと不安が消えたのと
とにかく色々吐き出して安心したのか
春は蓮の腕の中で眠っていた

男の呪いを受けた時に
焼き千切れてしまった春の
すっかり短くなってしまった髪を
蓮は愛おしそうに優しく撫でていた


「落ち着いた?」

「……春?」

「違うよ、あんたの事。さっき泣いてたからね」

「っな!?ななな泣いてないし!!」


顔を真っ赤にして否定する奈央に
あっそ、と一言だけ呟いて
また春の髪を撫でる


「EARTHは、春ちゃんをどうするつもり?」

「上の計画はあたしも詳しくは知らないけど、空と海の能力者の捕獲は常に最優先事項だった。勿論、名目はこの戦争を終わらせる為の協力」

「協力……ねえ?そんな穏やかな感じじゃなかったけど?」


馬鹿にしたように鼻で笑った蓮の手は
撫でるのを止めた、指先に力が籠もる

それを横目で見ながら
大きな溜め息をついた奈央は
また窓の外に視線を移した


「……あんたのこの結界、信用していー訳?」


薄暗くなるには早すぎる

この部屋から外が暗く見えるのは
薄く、しかしとても強い闇の結界の力


「勿論」


蓮は自信有り気に笑った