「あなたの能力を使用する為の代償として”あなたの命“を設定してます。むやみに使用すると寿命が縮まってしまいますよ?」
「人間の寿命と一緒にしないで、それに春は」
春は地面を強く蹴って
男との距離を一瞬で0にする
手の内にあるジュエルに手を伸ばすが
ひらりと交わされてしまった
「申し遅れましたが、」
「っ、このっ…!」
空中で体制を直して回し蹴りをするも
また交わされてその足を掴まれた
男がクスリと笑った
「私のランクは“S”です。……その辺の人間とは一緒にしないで頂き、」
男の声が止まった
原因は男と武装部隊の首に
突き付けられた無数の漆黒の刃
男は目だけを動かして
窓の縁に座る人影を睨み付けた
「はーい、そこまで」
呼吸することすら躊躇する程の
緊張感に呑み込まれたこの場に
まるで相応しくない呑気な声が聞こえた
しかし、その声には
「それ以上やったら、殺す」
容赦ない殺意と怒りが込められていた
男は暫くその声の主と睨み合っていたが
小さく舌打ちをすると、掴んでいた
春の足を投げ捨てるように放した
床に叩きつけられると思って
受け身の体制をとった春だったが
ふわり、と誰かに受け止められた
「春ちゃん、ごめんね」
暖かい体温と懐かしい匂いに
春はぎゅっと目を瞑った

