「おやおや……大丈夫ですか?」
優しそうな声なのにどこか冷たい
感情が籠もってないからだろう
その声の主は横たわる春を
革靴で蹴り仰向けにさせると
髪の毛を掴んで空色の瞳を覗き込む
口元に不愉快な笑みを浮かべた男に
春は働かない頭を必死で動かして
今にも消えそうな意識を
繋ぎ止める事しか出来ない
「ああ、よかった。成功です、空の能力が戻ったみたいですね」
「……っ……せ、」
「能力が戻ると回復も速いのですか。いや、あなた方には本当に驚かされる。素晴らしい能力だ」
嫌な笑い声、意地の悪い笑み
何が起きてるの……?
視界が段々とハッキリしてくる
黒い長髪の男の左目は髪で隠れていて
細い目が鈍く光っているのまで見えた時には
男の後ろには何十人という武装部隊が控えていた
「連れていけ」
髪の毛を引っ張り上げられて
無理やり立ち上がらせる
足がふらつく、立ってられない
武装部隊が左右に開けると
その中心には鉄の檻が見えた
どこに連れて行かれるのだろう
扉が開かれて背中を突き飛ばされ
鉄の檻の固い床に身体を打ち付ける
痛い、痛い、痛い
涙が零れた
誰か、助けて

