──冬の曇り空は好きじゃない

重くのしかかってくるようで
圧迫感のあるこの感じ

………うぅ、憂鬱だなあ。


「晴れろー、晴れろー」


空に向かって手を伸ばして
呪文のように呟くが
勿論天気は変わらない


「…………」


そのまま空を見上げていたが
諦めたようにダラリと手を下げた

体を包み込む空色の光も
すでに消えそうな程に仄かなもので


「春様」

「……りーちゃん」

「そんな格好で外に出てはいけません。コートを持って参りました。マフラーに手袋にブーツにあと、暖かいココアも、それから」


両手いっぱいに防寒具を抱え込むリベルを見て
春は思わず吹き出した

リベルの表情がふっと優しくなった


「………やっと、笑って頂けましたね」

「え?」

「ここ一週間、春様はずっと難しい顔をされていましたから。他の者達も心配していたのですよ。……さあ、帰りましょう」

「……ごめんなさい」


春がそう言って俯くと
何故謝るのです?とリベルは微笑んだ


「……うん、ありがとー」


つられるように笑った春は
もう一度空を見上げて、帰路を急いだ

心配してくれた人達にお礼を言おう


……そして、